江戸時代に出版されたアメリカ建国物語がいろいろおかしい

2019/05/11

 

幕末の日本で出版された、アメリカ建国の歴史を描いた「童絵解万国噺」(おさなえときばんこくばなし)という草双紙がいろいろおかしいので紹介したい。

 

当時できたてホヤホヤだったアメリカ合衆国の建国の歴史を子供にもわかるように挿絵たっぷりにまとめた絵本みたいなもんですが、

この内容がなんとも我々の知ってるアメリカの歴史と随分と色々と違う。

 

ちなみにアメリカ建国の歴史を超ざっくりと言いますと

 

コロンブスがアメリカ大陸発見

 

先住民族を排除しながらヨーロッパ勢が大陸征服

 

イギリスがアメリカ在住者にがんがん税金かけて搾取。

 

せっかく新天地に来たのにこれじゃ植民地とかわらん、とアメリカ在住者怒る。

 

名前だけはかわいい「ボストン茶会事件」とかいろいろ発生、事態は「アメリカ独立戦争」へ。

 

当時イギリスと敵対してたフランスがアメリカ独立を支持した結果、アメリカが掲げた「自由、平等」の精神がヨーロッパに飛び火してフランス革命に繋がって王政倒されたりと、この辺の歴史も面白いんで気になる人は検索してもらうとして。

 

そんなアメリカ建国について「童絵解万国噺」ではどう描かれるのか。

 

 

 お話はコロンブスが新大陸目指して出発するところから始まります。


「ころん」(閤龍:コロンブス)
「新大陸を発見するための船をください!」

 

いすはにや女王いさべら

「いいよ!」

 

「いすはにや」はスペインのことですね。ちなみにこの本で歴史に忠実なのはここまでですw

 

大海原をつき進むコロンブスの船。
行けども行けども大陸の影すら見えぬことに苛立ち、
ついには彼に短銃を向ける船員たち。

 

コロンブス
「いや、あのね。言わなかったかもだけどおれ神通力あんの。西の彼方に大陸あんのよ。ほら見えてきた!」

 

船員たち

「わーほんとだー」

 

 

 

 

 かくしてハイチに辿り着いたコロンブス一行。どうだと言わんばかりのコロンブスさん。

 

 時は流れ、のちの初代大統領ジョージワシントンの両親登場。

 

お父さんは、姓を「ワシントン」(話聖東)、
名を「メリケン」(米理幹)と呼び、

お母さんは「ハリナ」(巴利那)。

二人はイギリスの宮廷で女王に仕えておりました。

 

 

女王様の大事な宝物を壊した罪でお父さんとお母さんはアメリカに流罪に!

しかし実はこれ濡れ衣で、悪臣「フロレ」(布呂礼)の 姦計によるものだった!

 

新大陸へと流されるワシントン夫妻の前に「島根に住まふ妖魔仙人」が出現する!

 

え?島根??www

 

アメリカ建国の話に日本の妖怪が??

とか細かいことは置いといてこの挿絵のかっこよさよ。

描くは歌川 芳虎という絵師で歌川国芳 のお弟子さん。

 

 

なんやかんやで島根の妖怪を倒してアメリカ大陸に到着したワシントン夫妻に子供が生まれます。

「ワシントン・ゲオルゲ」という男の子。

 

「ワシントン・ゲオルゲ」はジョージ・ワシントンのこと。桜の木切って正直に話したら怒られなかったでお馴染みのアメリカ初代大統領になる男。

 

 

 

 

成長し18歳となったワシントンは、
人々を苦しめる双頭の怪物を退治したり

 

 

 アメリカにはいないはずの虎を素手で倒したりして

 

 

その帰りに「フランクリン」(払郎基林)と出会い、決闘の末に義兄弟の契りを結んだり、

 

「フランクリン」(払郎基林)はベンジャミン・フランクリンのことで「アメリカ独立宣言」を作った政治家の一人。

 

 

で、急に話は変わってアダムス(阿丹土)って人が登場。 アダムスが母と花見に訪れる場面。

 

アダムス(阿丹土)はジョン・アダムズのことでこの人も「アメリカ独立宣言」を作った政治家の一人。

 

 

アダムスがちょっと油断した隙に
お母さんが大蛇に襲われ連れ去られてしまった!

 

完全に頭食べられちゃってるよアダムス母!

 

 

大蛇を探すアダムスの前に現れた仙女!

 

仙女

「この巨大な霊鳥が大蛇を探してくれます。さぁ、鳥に着いて行くのです!」

 

アダムス

「了解!(どうせなら乗っせてってくれたらいいのになんなん?)」

 

 

そして見事大蛇を打ち取ったアダムス!

 

またこの挿絵の構図のかっこいいこと。

もうすでにアメリカ建国の話だってこと忘れつつあります。

 

 

大蛇を倒したことを認められ村長の娘婿になったアダムスはその後フランクリンとワシントンと出会います。

 

 

遂に出会ったアメリカ独立の英雄ワシントン、フランクリン、アダムスの3人は、アメリカ13州をイギリスの支配下から独立させるため、その後も数々の豪傑たちを率いて「びるぎにあ」の地へ集結するのであった…!

 

「びるぎにあ」は多分バージニアのことで当時のアメリカ大陸の中で最大のイギリス植民地で、独立戦争の激戦地のひとつ。

 

この本、当時の日本人に受けなかったのか続きは刊行されなかったらしく、俺たちの戦いは続く!的な感じで終わります。

 

ちなみに「童絵解万国噺」は3部構成になってて、この建国話が載ってるのは第3部。
第一部は西洋列国の地理と歴史がメインで、
第2部はアメリカの風俗や制度の紹介が
主になっていてこれも面白いので興味ある人は国会図書館アーカイブで見れるのでどうぞ。

http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2559375?tocOpened=1

 

 

進士 素丸

 

 

 

 

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