- 2020年10月22日
鉄と星の物語「たたらと羽衣伝説」
宮崎駿監督のアニメ『もののけ姫』には「たたら場」が、物語のカギを握る重要な場所として登場します。たたら場とは砂鉄から鉄を取りだす作業を行う場所で、いわば昔の製鉄所です。
たたら場は古代より日本各地に存在し、長く日本の鉄需要を賄ってきましたが、明治になって西洋式の近代的製鉄法に押され、徐々に姿を消していきます。現存するのは島根県雲南市吉田町にある「菅谷(すがや)たたら」のみで、『もののけ姫』に登場するたたら場のモデルも、この菅谷たたらと言われています。 一般に女性は製鉄作業に従事しない。彼らが祀る金屋子神(かなやごかみ)が女性神で嫉妬深く、たたら場に女性が入ると祟りがあると言われたからです。 『もののけ姫』で宮崎駿がタブーとされる女性を製鉄作業に従事させたのは、祟りを恐れないエボシ御前の近代的な精神をセリフで説明するのではなく一目で表現してみせた秀逸な演出なのです。 「ヤマタノオロチ伝説とたたら製鉄」 「たたら場」で使用される砂鉄は、含まれる不純物が少ないほど良質とされました。上質な砂鉄は中国山地の中でも、特に出雲地方でのみ採れました。 出雲と言