- 2020年10月22日
不思議な医学書『針聞書』キモカワイイ虫たちの世界
日本の医学の歴史を紐解くと、「病気」とは古代から平安期においては呪詛や魍魎の類の仕業とされ陰陽師などに代表されるシャーマンが医者の務めを担っておりました。 「病気」が現代医学に近い解釈がなされるには江戸時代にオランダから伝わった『ターヘル・アナトミア』を杉田玄白が「解体新書」として訳すまで待たなければなりません。 その杉田玄白が「解体新書」を発刊する約200年前の1568年、織田信長が日本中を相手に戦争していた、まさに戦国時代に書かれた「針聞書」という医学書があります。 「針聞書」(はりききがき)とは当時すでに中国から伝わっていた針灸や漢方薬に関する東洋医学書で、摂津の国(現・大阪府)の住人・茨木元行によって書かれたとあります。 針灸が日本で発展したことを示す資料的に貴重な医学書であるのですが特筆すべきはそのオリジナリティ溢れる内容です。 当時の日本人は病気とは身体の中にいる「虫」によって引き起こされると考えていました。「針聞書」はどの様に針を打てば体内に居る「虫」を退治できるかをまとめた医学書なのですが、その病気を引き起こすという「虫」の想像図