- 2020年10月22日
江戸時代のベストセラー作家 山東京伝の黄表紙の世界
江戸時代前期、木版印刷が普及すると商業出版が本格的にスタートし、それまで貴族や武家のものだった本が庶民の手にも届くようになります。 当初は仏書や歴史書など硬派な出版物ばかりでしたが、絢爛な文化が花開いた元禄期になると、娯楽小説をはじめ実用書、ハウツー本、教育本、ガイドブックなど次々に新しいジャンルが開拓され、様々なベストセラーが生まれました。 江戸庶民が楽しんだ娯楽小説に「黄表紙」と呼ばれる文芸ジャンルがありました。 「黄表紙」とは絵と文章で構成され、フキダシのようなものもある、いわば「大人の絵本、マンガ」。洒落と社会への批判をあざ笑う内容で、あちこちに仕込まれたダジャレや風刺などを読み解くのも楽しみのひとつ。 喜多川歌麿、葛飾北斎など人気浮世絵師が挿絵を担当し江戸庶民に大人気でした。 そんな黄表紙の世界でヒット作品を連発したベストセラー作家、山東京伝。 1780年、18歳で黄表紙作家としてデビューを果たした山東京伝(さんとうきょうでん)は江戸時代後期の浮世絵師であり戯作者。 自ら挿絵も描き、そのユーモラスでシュールな世界観で瞬く間に黄表紙界の大