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アメリカ人画家が描いた130年前の日本

1890年。

まだ江戸時代の文化が色濃く残る明治23年の日本にやってきたロバート・フレデリック・ブルームというアメリカ人画家。

彼が残した、当時の日本の市井を鮮やかに描いた水彩画、油絵、パステル画の数々がとても美しいのでまずは見ていただきたい。

画像出典元: The Athenaeum

当時の日本を生き生きと描き出したこれらの作品は、1890年にアメリカから日本にやってきたロバート・ブルームという画家が描いたもので、美術作品としてはもちろん、当時の日本の文化や生活を知る上での研究資料としても高く評価されている。

アメリカからペリー提督率いる黒船がやってきて日本中を震撼させた4年後、日本が開国か攘夷かと騒然としている1857年にアメリカに生まれたロバート・ブルーム。

ブルームにとっての日本との出会いは16歳の時だった。

 たまたま見かけた、露天商で売っていた日本の扇に目を奪われた彼は、その時のことを後にこう書いている。

「今まで見たことにない、初めての物。なんと美しい。私にとって突然の啓示といえるできごとでした。」

 そして、この絵の好きな少年は、日本への関心を高めていきながら、フィラデルフィアの美術学校に入学する。その年、フィラデルフィアではアメリカ独立百周年記念万国博覧会が開かれ、ブルームはそこで美しい日本の展示に感動し、日本への憧憬はさらに膨らんでいく。

 しかしブルームが実際に日本の土を踏むまでには、それから13年待たなければならなかった。

ブルームが33歳の時、ついに日本に行くチャンスが訪れる。イラストレータ ーとして活躍していたブルームに"Japonica”という日本を紹介する記事の挿し絵を描く仕事が舞い込んだのだ。

 長年の夢だった日本にやっと着いたのは明治23年(1890年)だった。

長年夢見ていた日本の風景に感激したブルームは、友人に次のような手紙を送った。

「恋に落ちたら相手の魅力が何もかもを包んでしまうということがあるだろう?日本は私にとってその状態なんだ。私は神に祝福された地に足を踏み入れたのです。私の人生の中でぼんやりした憧れだったことが本当に実現したのです。」

 ブルームは日本に滞在した2年半、多くの油絵や水彩、素描、パステル画を描いている。明治23年の日本では油絵も珍しかったが、パステル画はもっと珍しかっただろう。ブルームのパステル画はおそらく日本で描かれた最初のものではなかろうか。

 当時の日本を美しく活写したブルームの絵は、今でも色褪せることなく、ニューヨークのメトロポリタン美術館に展示されている。

進士 素丸

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