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江戸時代にもあった大食い大会がいろいろ規格外


現代においても大食い大会はテレビなどで多く放映されていますが、江戸時代においても数々の大食い大会が開催され、大会の様子や記録ランキングが出版されるとベストセラーになる、といったように大食い大会はブームといえるほど大人気でした。 数ある大会のなかでも特に有名なのが、1817年(文化14)の大食い&大酒飲み大会です。会場は、江戸は両国柳橋の有名料亭「万八楼」(まんぱちろう)。


浮世絵にも描かれた料亭「万八楼」。(『江戸高名会亭尽』「柳ばし夜景」歌川広重)

この時の壮絶な大食いバトルの様子は、『南総里見八犬伝』でベストセラー作家となった曲亭馬琴や幕臣・宮崎成身などが記した多くの文献に記録が残されています。 大会の出場者は江戸じゅうの猛者200人ほど。

部門は、菓子の部、飯の部、蕎麦の部、酒の部。

出場者の身分は職人から農民、商人、武士とさまざまで、身分の上下関係なくただひたすら大食い自慢を競いました。

それでは各部門の優勝者の記録を見ていきましょう。

ひたすら甘いものを喰え!「菓子の部」


エントリーした選手が自分の好きなものを好きなだけ食べ、その量を競ったようです。行き過ぎた甘党たちの記録を見てみましょう。

優勝

丸屋勘右衛門さん(56歳/神田在住) まんじゅう×50個 ようかん×7棹 薄皮もち×30個 お茶×19杯

他出場者が途中でたくあんや梅干しなどをかじって甘い物と辛い物のバランスをとる中、

まんじゅう、ようかん、薄皮もちとシンプルに甘い物のみを食べ続け見事優勝したのは丸屋勘右衛門さん56歳。

調子がいいときはもっといける。とのコメントを残したそうです。

勝敗のカギはおかず!「飯の部」


続いては「飯の部」のようすを見てみましょう。「飯の部」では好きなおかずを用意して勝負したようです。 優勝

三右衛門さん(41歳/三河島在住) ごはん×68杯 醤油×2合

他出場者がおかずに焼き魚やみそ汁や漬物を用意する中、醤油のみで勝負した三右衛門さん41歳が見事優勝!

優勝決定後、具合が悪くなり休憩室に運ばれるとしばらくして目を覚まし、起き上がるや水を17杯も飲んだそうな。

すすれ!「そばの部」


勝負はシンプル! 二八そばをどれだけ食べられるか!

優勝

山口屋吉兵衛さん(38歳/池之端仲町在住) そば×63杯

大食いのコツもシンプル!「噛まずに飲め!」だそうです。

酔い潰れたら負け!「酒の部」


老若男女が参加し記録そっちのけで歌って踊って大会中最も盛り上がるのがこの「酒の部」だったそうです。

優勝

天堀屋七右衛門さん(73歳/小石川春日町在住) 記録

すべての酒

10升、15升飲み干したなんて記録が並ぶ中優勝したのは天堀屋七右衛門さん73歳。

すべての酒ってなにそれ怖い。

大会後「所用がある」と帰るも帰宅途中で眠っちゃったらしく、翌朝、湯島聖堂の土手でひっくり返って眠っているところを家族に発見されたとか。

大食い大会は命がけ

老いも若きも武士も庶民も熱狂した大食い大会ですが、無茶なチャレンジの果てに命を落とした人もいたとか。 大道芸人の松井源水さんがこの大会に参加し、生豆5合と水1升という記録を残しましたが、帰宅後に激しい苦痛に襲われ一昼夜悶絶。最期を覚悟した源水は死力を振り絞り奥義の秘曲を子供に伝授すると死亡したそうです。

泰平の世に生まれた食のエンタメ「大食い・大酒飲み」ブームは、ぜいたくを禁じる「天保の改革」により幕を下ろしました。そして、再び20世紀に大食いブームとして復活するのですからおもしろいものですね。

進士 素丸

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